OUR prototyping by THE ULTRA 11

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ウルトラファクトリーの年刊誌『THE ULTRA』では、毎号さまざまな特集が組まれています。
最新号『THE ULTRA vol.11』(2020年3月発行)のp.6-p.7は「OUR prototyping」として、学生がウルトラファクトリーで制作したプロトタイプ(試作品)を学生のコメントとともに11例ご紹介。
WEBバージョンとして、誌面では確認し辛い作品細部などをクローズアップしました!
ぜひものづくりの参考にしてみてください

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<No.1>
デジタル刺繍ミシンで
使用機材(メーカー名 / 型番):刺繍ミシン(brother / PR655)
素材:綿麻の布 / 制作費:780円 / 制作期間:1日
出力データ形式:jpg(Adobe Illustratorデータ→jpgに変換して出力)
web11_001.jpgこれは何?『THE ULTRA』11号のタイトル表紙に使うものです。

なぜつくったの?
せっかくULTRA FACTORYの工房が拡張したので、ここにある機材を生かして、今号のタイトルをつくってみたら面白いかも!と思って、つくりました。

苦労した点
エラーが多発して、何回もやり直しをしなきゃいけなかったことです。針から上糸が抜けたり切れたりで、出力中はずっと機械のそばにいました。

One point アドバイス刺繍ミシンは繊細な機械なので、エラーがつきもの。裏に接着芯をつけてあげると、布が張られてエラーが減り、綺麗に刺繍できますよ!  百均でも買えます。
製作者:松山美優さん

<No.2>
レーザー加工機で
使用機材(メーカー名 / 型番):レーザーカッター(trotec / speedy360)
素材:アクリル板、紙、シルクスクリーンによる印刷
制作費:レーザー加工機での出力は0円。シルクスクリーンは細かい金額不明
制作期間:デザインを含め約1ヶ月、うち2週間で制作
出力データ形式:Adobe IIlustratorで編集できるパスデータ
web11-002.jpgこれは何?グループ展「チョウコク-論」のDMです。左の黒い紙が完成DM、右はDMを制作する際に使ったパーツ(アクリル樹脂で出来た凹版と凸版)です。

なぜつくったの?この展覧会をキュレーションされ、大学の非常勤講師でもある小宮太郎さんから制作依頼を受けたからです。

苦労した点アクリル樹脂で凹版と凸版をつくったのですが、出力する時に誤差が出るので、その調整が大変でした。また、アクリル板は熱を加えすぎると板が歪んでしまうので、レーザー出力の調整も難しかったです。

One point アドバイスつくりたいデザインから完成までの工程の流れを考えることが大切です。一工程ごとに微調整をしていくのが必要不可欠になるので、余裕を持った段取りがマスト! スケジュールと必要なデータや材料などは早めに用意した方が良いです。
製作者:毛利優花さん

<No.3>
3Dプリンターで
使用機材(メーカー名 / 型番):3Dプリンタ(formlabs / Form2)/ 素材:紫外線硬化樹脂(レジン)
制作費 : 試作含め1000円 / 制作期間 : 2日 (設計→プリント・仕上げ) / 出力データ形式:stl
web11-003.jpgこれは何?ウルトラのシルクスクリーン工房で使われているクランプの取っ手部分です。

なぜつくったの?工房を利用するなかで、クランプを落として取っ手が壊れてしまうことがあります。だけど毎回購入するとお金がかかってしまうので、工房内で製作できないかと思って試作しました。

苦労した点男女によって取っ手の握り方が違うので、誰もが握りやすい丸みのある形をつくること、既製品のボルトの頭にちゃんと嵌るように調整することが大変でした。

One point アドバイス試作の回数が多いほど完成品の質が上がるので、試作はスピードが命!試作して失敗を重ねた答えが完成品だと言えるので、失敗を恐れずにたくさん試行錯誤してみてください。
製作者:加藤 周さん

<No.4>
3Dボディスキャナと3Dプリンタで
使用機材(メーカー名 / 型番):3Dボディスキャナ(DIGINEL)、データ編集ソフト(DesignX)、3Dプリンター(Form2)
※3Dボディスキャナはウルトラファクトリーの設備機材ではありません
素材:紫外線硬化樹脂(レジン) / 製作費:レジン215㎖で6600円(洗浄代含む)
製作期間:スキャン/データ編集/Form 2 出力の合計で3日間 / 出力データ形式:stl
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これは何?3Dボディスキャナの作成データを3Dプリンタにて出力する過程で作成したモデリングデータです。アメリカの有名なオモチャ「グリーンアーミー」をイメージして制作しました。

なぜつくったの?もともと3Dスキャナや3Dプリンタに興味があり、それらを使った作品製作をやってみたいと思い、制作しました。

苦労した点スキャン中に発生したノイズを除去する作業が大変で苦労しました。また、スキャンしたものを3Dデータとして出力するために、いくつかの手順を踏まないといけないので、はじめのうちは覚えるのが大変でした。

One point アドバイス3Dボディスキャナからデータ出力する際、着ていた衣服の色によっては画像にノイズが出てしまい、綺麗なデータが取れない場合があります。スキャンする時は着ている服の色にも気をつけ、スキャン後に万が一ノイズが出てしまった場合はモデリングソフトなどを使って除去して、きれいなスキャンデータを取るように意識すると良いと思います。
製作者:大野裕和さん


<No.5>
キッチンで
使用設備:キッチン / 素材:くろまめうどん
制作費:約20,000円 / 使用期間:2日間
web11-005.jpgこれは何?くろまめうどんを振る舞い、グッズを販売する簡易模擬店をウルトラファクトリーのキッチンエリアで開きました。

なぜつくったの?卒業制作としてつくった岡山県美作市での"くろまめうどんのワークショップ"を、京都にいる人や卒業制作展に訪れた人たちにも知ってもらうため。そして、ウルトラのキッチンをより活用してもらうため。

苦労した点卒業制作展とイベント準備を同時並行で進めていたので、作業量や関わる人・もの・ことが多く管理するのが大変でした。

One point アドバイスたくさんの人の協力があってこそできたものだったと強く感じています。いろんな人に相談して、頼ってください。協力してくれる心強い大人や仲間はたくさんいます。いわば、なんでもできる環境が大学なので思う存分使ったらいいと思います。
製作者:小林はるかさん



<No.6>
UVプリンターとレーザー加工機で
使用機材(メーカー名 / 型番):レーザー加工機(trotec / speedy360)UVプリンタ(Roland / VersaUVLEF-300)
素材:アクリル板 / 制作費:1600円 / 制作期間:2週間(パスに起こす→出力プリントとカット)
出力データ形式:Adobe IIlustratorで編集できるパスデータ
web11-006.jpgこれは何?学科の新歓に誘われた時にすごく嬉しくて、その気持ちを落書きで紙に描いたものをキーホルダーにしてみました。

なぜつくったの?ウルトラファクトリーの機材を使ってみたくて、手はじめに、このキーホルダーをつくってみました。

苦労した点機材使用にあたって覚える手順が多く、高そうな機材だったので「壊したらどうしよう〜」と常にヒヤヒヤしていたことです。

One point アドバイスウルトラファクトリーのスタッフさんは優しくなんでも教えてくれるので緊張しなくでも大丈夫です! わからないことがあれば気軽に聞いたらいいですよ。
製作者:松田優多さん




<No.7>
シルクスクリーンで
使用機材:シルクスクリーン機材一式
素材:光沢紙、写真製版用のインク / 制作費:1100円 / 制作期間:4日
出力データ形式:Adobe Illustratorデータ→シルクスクリーン
web11-007.jpgこれは何?4色分解という写真製版の技法を使って光沢紙に写真を刷ったもので、卒業制作の試作です。

なぜつくったの?卒業制作の試作をつくりたかったからです。自主制作ですね。

苦労した点シルクスクリーンをはじめて大体2年弱なんですが、位置合わせの作業に毎回時間がかかってしまうんです。今回も1色刷るたびに版イメージと刷る位置をトリムマークに合わせるのに苦労しました。

One point アドバイス特に4色分解など作業工程の多い時は、時間短縮のために道具の掃除を早く済ませることをオススメします。あとは、油性と水性を間違えないことも重要です!
製作者:近藤ほの花さん


<No.8>
プラズマ切断機で
使用機材(メーカー名 / 型番):プラズマ切断機(Panasonic / YP-030PF1)
素材:ステンレス板 / 制作費:0円(廃材を拾ったので)
制作期間:現段階で約1ヶ月 / 出力データ形式:なし
web11-008.jpgこれは何?女の人の身体を描くのが好きで、よくなんの気なしに紙に描いていた落書きを半立体に起こした作品です。

なぜつくったの?ヤノべゼミの展覧会に出展するためです。

苦労した点つくっていて大変なことはあんまりないですけど、プラズマ溶断機は熱を出すし火花も散るしとにかく熱いんです。たまに火花が皮膚に飛んできた時は「熱い!」って、なりましたね。

One point アドバイス肌を露出しての金工は禁止です。キャップを被り(髪の長い人はくくってしまって)、日焼けもするので気になる人は日焼け止めを塗ることをオススメします!
製作者:竹山富貴さん

<No.9>
木工旋盤で
使用機材(メーカー名 / 型番):木工旋盤(オフ・コーポレーション / KC-14)
素材:欅 / 制作費:7000円 / 制作期間:約1ヶ月
web11-009.jpgこれは何?味噌汁茶碗です。

なぜつくったの?こども芸術学科では3回生が毎年瓜生山祭で展覧会をしていて、それに出展するためです。テーマが「育」だったので、私は「家族って何だろう」と考え、行き着いた先で、このお椀をつくろうと思いました。

苦労した点削るための木材を手に入れることに苦戦しました。ホームセンターに売ってると思っていたのに、売っていなくて、業者さんに電話してみたところ値段が高すぎて買えなくて......。最終的には、地元のお知り合いの方に発注してもらいました。

One point アドバイス木工旋盤は持ち手の位置を間違えると顎が割れるほどの威力があるので、手の位置には絶対気を付けてください。顔の前に持っていかないように! 慎重に作業してくださいね。
製作者:田中智佳さん

<No.10>
マシニングセンタで
使用機材(メーカー名 / 型番):マシニングセンタ(IWAMA / MM800Lite)
素材:アクリル板 / 制作費:廃材を持っていたため、0円
制作期間:約2ヶ月間(CADの習得、素材選定、講師とのスケジュール調整、切削時間は1回5時間以上)
出力データ形式:CAMデータをGコードに変換
web11-010.jpgこれは何?タンブラーの蓋です。

なぜつくったの?タンブラーを試作しようと思っているのですが、それに合う蓋を探していて結局自分でつってみようと思ったからです。

苦労した点ひとつのものをつくりだすのに、多岐にわたる知識が必要になってくるので、結構時間がかかりました。切削機の使い方(CAMを知らないといけない)、CADを覚えないといけない、CADで作る図面のデザイン知識、切削に適した素材の探求などなど。

One point アドバイス1回の切削につき、時間・素材・体力がかかるので、できるだけ少ない回数で終えられるよう計画を立てておくこと。
製作者:堀内 僚さん

<No11>
レーザーカッターで
使用機材(メーカー名 / 型番):レーザーカッター(trotec / speedy360)
素材:アクリル板 / 制作費:40000円程度(全パーツで) / 制作期間:約6ヶ月(全パーツで)
出力データ形式:Adobe illustratorデータ
web11-011.jpgこれは何?9月半ばに展覧会をするので、それに向けての作品。生物をモチーフにした作品パーツの一部です。

なぜつくったの?切り絵から連想して作品を制作していて、作品の構造を見えるようにしたくて透明樹脂、プラ板、アクリル板などを使っています。それをカットできる機械を考えた時にレーザーカッターでつくる方法を思いつきました。イメージと現物を生み出す過程で、レーザーカッターで量産していくのが速度的にもラグがなく扱いやすいです。

苦労した点平面的で緻密なものを1つずつイメージし、組み立てていくのが大変でした。立体的なものから平面を逆算してつくっていたので、それが慣れていなかったのも大変でした。また素材の反り返り(薄い程熱で反り返りやすい)によってレーザーの焦点距離が合わず、素材が切れない事が多々あったのも苦労しました。

One point アドバイス焦点距離が合わない場合、マスキングテープで端を固定してあげると合うようになります。1回で切れなかった時また出してしまうと、もう一度入れ直しした時に1回目とでズレが生じて焼け跡がいくつも残ってしまうので要注意です。
製作者:風間大槻さん

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使用機材について詳しく知りたい場合は、機材名から特設ページにリンクを貼っていますのでぜひ確認してみて下さい。
その他、ウルトラファクトリーで扱える機材の一覧はこちらから

【THE ULTRA vol.11 】 2019. March
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