土佐信道(明和電機)、石橋義正(映画監督)、ヤノベケンジによる「激突プロジェクト」ステートメント

土佐信道(明和電機)、石橋義正(映画監督)、ヤノベケンジのコラボーションプロジェクト
「激突プロジェクト」ステートメント

■ウルトラファクトリーの可能性
京都造形芸術大学ウルトラファクトリーでは、今年の目玉プロジェクトとして、「激突プロジェクト」を実施しています。
2008年より、ウルトラファクトリーでは、ヤノベケンジを総合ディレクターとし、様々な著名アーティストやデザイナーが牽引する「ウルトラプロジェクト」をオーガナイズするとともに、新進気鋭の若手アーティストが工房を利用して作品制作するための支援をしてきました。
現在では、ウルトラファクトリーで制作された作品は、国内外のパブリックモニュメントや国際美術展、海外での展覧会などに出展されるようになり、日本のアート界を動かすエンジンとして多くの人に認知されるようになってきています。
設立より7年を迎え、ウルトラファクトリーが持つ工房機能や、トップクリエイターの制作と実践教育を兼ねた「ウルトラプロジェクト」のシステムのさらなる可能性を図るべく、満を持して招かれたのが明和電機の土佐信道氏です。

■「激突プロジェクト」のお披露目
このプロジェクトの成果は、吉本興業が企画する、京都国際映画祭においてお披露目されることが予定されております。明和電機の新作や製品の量産、ヤノベケンジとのコラボレーションによる明和電機キャラクターの巨大彫刻など、ウルトラファクトリーでしか実現できない様々なことが期待されています。
さらに、そのお披露目イベントの演出を映画監督の石橋義正が手掛けることによって、奇才三者のコラボレーションが実現し、今までにないアートの枠組みを超えた一大スペクタクルが展開されるでしょう。
アート、エンターテインメント、大学などの境界を超えたさらなる可能性をどこまで広げられるかが、この「激突プロジェクト」の最大の狙いなのです。是非、ご期待下さい。

■明和電機
明和電機をご存じの方も多いでしょうが、1993年に結成された土佐正道、土佐信道兄弟によるアートユニットで、青い作業服を着用し、作品を「製品」、ライブを「製品デモンストレーション」と呼び、高度経済成長期の町工場のようなスタイルを取りつつ、極めて洗練されたナンセンスな機械を制作してきました。
代表作として、魚をモチーフにした「魚器(NAKI)シリーズ」、オリジナル楽器電動「ツクバ(TSUKUBA)シリーズ」、様々な声を出す機械「ボイスメカニクスシリーズ」などがあり、シリーズを通じて「ナンセンス・マシーン」が制作の大きなテーマになっています。
その作品は、日本の戦後の復興を象徴していた製造業へのオマージュであると同時にアイロニーにもなっており、その洗練された表現は、メディア・アートの分野でも、アルスエレクロニカで準グランプリを受賞するなど国内外で高い評価を得ています。
2001年以降は、土佐信道氏のアートプロジェクトとして活動を継続しており、近年では電子楽器オモチャ「オタマトーン」が一般流通で販売され大きな話題となりました。アート、エンターテインメント、プロダクトの領域を横断しながら、ますます精力的にその活動の幅を広げています。

■明和電機とヤノベケンジ
明和電機の実質的なデビューは、1993年の ソニーミュージックエンタテインメント第2回アートアーティストオーディション大賞の受賞であり、ヤノベケンジが1990年に第1回キリンプラザ大阪コンテンポラリー・アワードから注目されたことと時期や時代背景が似ており、さらに身に着けられる機械彫刻と作るという作風において、長らく比較されてきた関係でもあります。
しかし、明和電機の作る洗練された作品は、身に着ける機械から巨大彫刻へと移行していったヤノベケンジにはない可能性を持っていると言えます。ヤノベケンジと類似したアプローチから出発し、異なる形で発展した明和電機の作風と、ウルトラファクトリーの工房機能と制作体制によって、双方の持つポテンシャルが引き上げられる可能性は十分にあると言えます。
つまり、ヤノベケンジに代わって、ウルトラファクトリーのシステムを別の形で最大限に活かすことができる人物は、土佐信道氏の他は考えられず、この度、ウルトラファクトリーへ長期滞在をすることでシステムの根幹に携わりながら制作して頂くことになりました。
それは、「明和電機ファクトリー」となることを意味し、2008年よりヤノベケンジがディレクターを務めてきたウルトラファクトリーが、本格的に「乗っ取られる」ということでもあります。ここに、「乗っ取られる」ことでしか生まれない可能性が開かれたのです。

■石橋義正(映画監督)
さらに、このウルトラファクトリーの節目とも言える本プロジェクトに、初年度ウルトラプロジェクトとして、映画『ミロクローゼ(主演:山田孝之)』の美術を制作した映画監督の石橋義正氏にも参加して頂くことが決定しました。
石橋義正氏は、マネキンを使ったシュールなドラマ『オー!マイキー』で知られ、深夜テレビ番組『バミリオン・プレジャー・ナイト』、映画『狂わせたいの』、美術館での映像作品やライヴパフォーマンスなど、アートからテレビまで幅広く作品を発表しています。
近年では伝統芸能の舞台演出や、3D映像とダンスパフォーマンスを融合した舞台など、ますます活動の域を広げ、明和電機とウルトラファクトリー、ヤノベケンジの協働作品の演出を行う人物として他にはないと言えるでしょう。この三者がコラボレーションすることによって、さらに、創作のエネルギーが「激突」し火花を散らすことでしょう。

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